まとめ

【まとめ】光州ビエンナーレ2018(Gwangju Biennale)鑑賞のための手引き(9月10日更新!)

0. 導入部

不思議なことにビエンナーレというものは、(光州の場合はそこまででもないが、ヴェネツィアがそうであるように)参加する作家がその国を代表するだけでなく、その行事そのものがその国の展示を代表するものにもなる。韓国のビエンナーレ(光州と同時期に行われる釜山、ソウル・メディアシティ・ビエンナーレ、そしてそれ以外に開催されている水墨ビエンナーレや昌原彫刻ビエンナーレなども)の場合も同様で、ビエンナーレという行事以外の展示には海外にいるとなかなか注目されることがない。いくら同じソウルで興味深い展示があったとしても、MMCAで行われるコリア・アーティスト・プライズくらいしか紹介されず、ほかの美術館、そしてオルタナティブ・スペースの展示に至っては(日本→韓国の場合と同様に)尚更そうである。

たしかに、ビエンナーレにはその規模や世界各国から集う作品によって魅力が漂っているかもしれない。でもそのせいで、海外から批評の眼差し―もとよりビエンナーレ自体に批評を求めづらいのもあるだろうが―を投げかけることが難しくもある。そこに本当に展示としての代表性が果たして存在するかどうか、再確認する必要はあるだろう。そして願わくば、同時期に開催されている展示をはじめソウルの展示を見てみながら、光州ビエンナーレはどれほどまでに代表的な展示なのか、そして代表できるものなのか、と考えてみる必要がある。

関連画像
光州ビエンナーレ2018 オフィシャルポスター

今回の光州ビエンナーレの展示は「Imagined Borders」のテーマの下、複数のキュレーターによってそれぞれのスペースで作品が発表される(9月7日~11月11日)。タイトルから展示やその構成の良し悪しを想像することも容易いかもしれないが、一度ビエンナーレ自体の代表性から離れ、足を運び、より鋭く展示を見てみる必要があるのではないか。もしそれが代表性を伴う展示であるならば、如何にして価値があるのか。実際の眼で見てほしいという意味を込めて、光州ビエンナーレへの手引きとしてここに紹介したい。これを参考までにしていただいた上で、出来ることなら、ソウルで行われているソウル・メディアシティ・ビエンナーレ、更にはビエンナーレの形式ではないソウルの展示にも目を向け、比べて頂きたい。そして、こう考えてみてもいいかもしれない。ビエンナーレだけで韓国の展示を語り尽くしていいのだろうか?、と。

1.光州ってどこだ?

・光州、発音はグァンジュ(Gwangju)。発音も同じだが、「廣州」と「光州」は全然別の所。ビエンナーレの会場は後者で、光州「広域市」といい韓半島の南に位置している。地理関係でいうと、ソウルより釜山のほうが遥かに近い。


(画像をクリックすると、マップに飛びます)

・韓国旅行するとき、大半の人は金浦(キンポ)空港や仁川(インチョン)空港を使われると思う。この二箇所はソウルに来る時にベストの空港(仁川と金浦だと金浦の方がソウル寄り)。

おすすめするルートは仁川空港からバスに乗って直で光州に行くルート。これだと3時間~4時間くらいかかる。金浦空港からはあまりアクセスがよくないため、ソウルでKTXという高速鉄道に乗るのをオススメする(ソウルで展示を見る人にはこのコースがオススメ)。

仁川空港の到着ターミナルと同じ階にバスターミナルがある。これに乗って光州まで行くと、値段は4,000円前後。窓口と券売機からバスのチケットは購入できる。(写真は仁川空港のターミナル)

「인천공항 버스」の画像検索結果

まとめると、

①空港からバスでダイレクトコース(オススメ)
:仁川空港→光州総合バスターミナル(ユースクウェア)

②ソウルで展示も見てから高速鉄道(KTX)コース
:仁川空港→ソウル駅・ヨンサン駅→光州松汀駅

・ここで、バスターミナルと光州松汀駅は、同じ光州市内にあっても場所が若干違う。光州松汀駅はちなみに「グァンジュ・ソンジョン」駅と読む。あのお方とはスペルが違う。

・②で行く人は、ソウル駅かヨンサン駅から行ける。高速鉄道(KTX)の窓口で光州松汀駅行きのチケットを購入。約5万ウォンの片道チケットを買い、電車に乗ること1時間半〜2時間で光州松汀駅に着く。(写真はヨンサン駅のホーム)

「용산 ktx」の画像検索結果

・ちなみに同じタイミングで釜山ビエンナーレが開催されるが、光州→釜山はアクセスが悪すぎるため(バスで3時間くらいかかる)、一日で二箇所のビエンナーレを見るのは不可能。

2.会場ってどこだ?

・メインの会場は二箇所。ACCの略称で呼ばれるアジア文化殿堂(아시아문화전당 アシア・ムナジョンダン)(サイト)という建物と、いつものビエンナーレ館(サイト)

「국립아시아문화전당」の画像検索結果

「광주비엔날레」の画像検索結果
上:ACC、国立アジア文化殿堂(Asia Culture Center, 국립아시아문화전당)
下:光州ビエンナーレ館(Gwangju Biennale, 광주비엔날레)

・ただし、2つの建物は距離が離れてて微妙に遠いので、タクシーに乗ってもいいのかもと(変に市内のバスに乗って乗り換えるのも大変)。

ここでタクシーの値段をチェックしてみましょう

①空港からバスでダイレクトコース(オススメ)
:仁川空港→光州総合バスターミナル(ユースクウェア)から会場までの行き方

□光州総合バスターミナル(ユースクェア) ⇆ ACC:約15分/4,700ウォン
□ACC ⇆ 光州ビエンナーレ館:約20分/6,400ウォン
□光州総合バスターミナル ⇆ 光州ビエンナーレ館:約9分/3,900ウォン

②ソウルで展示も見てから高速鉄道コース
:仁川空港→ソウル駅・ヨンサン駅→光州松汀駅から会場までの行き方

□光州松汀駅 ⇆ ACC:約30分/14,000ウォン
*駅から地下鉄のホームに降り、文化殿堂駅で下車も可能(約20分)
□ACC ⇆ 光州ビエンナーレ館:約20分/6,400ウォン
□光州ビエンナーレ館 ⇆ 光州松汀駅:約30分/13,500ウォン

・事前に言うと、光州の電車事情は、一直線、一本しかありません!

・でも今回はシャトルバスがあります!ただし、そこまで本数は多くないので注意。
2018광주비엔날레 셔틀버스 운행 시간표(팝업창).jpg

巡回は上から順に、①光州松汀駅→②光州総合バスターミナル(ユースクェア)→③光州ビエンナーレ館→④ACC(アジア文化殿堂→⑤光州ビエンナーレ館→⑥光州総合バスターミナル→⑦光州松汀駅

運賃は1,000ウォン(100円)也。

9月末、22〜26日は韓国の大型連休、極端にいうと帰省ラッシュ。道も混むし、電車も予約で埋まるはずなので、そのタイミングで避けた方がいい。

・ちなみに地下鉄はこんな感じで切符の代わりにコイン状のチケットで改札を通ります(下の青いカードはソウルでも使えるSuicaみたいなカード)。

3. 展示のご案内

展示は9月7日〜11月11日。場所は前述の二箇所+α

①ACC(アジア文化殿堂, 아시아문화전당): ACC Creation (문화창조원)・民主平和交流院

・ACCの展示は大きく分けて3つのキュレーション1つのプロジェクト(アドリアン・ビジャール・ロハス Adrián Villar Rojasの映像作品)8つのスペース(ACC 0~6, 民主平和交流院)で成り立っている。以下はその写真たち。

上から順にクチョ(Kcho 手前)、ヨアン・カポーテ(Yoan Capote 奥)→ユン・ヒャンノ(Hyangro Yoon, 윤향로)→チョン・フィスン(Heeseung Chung, 정희승)→オギン・コレクティブ(Okin Collective, 옥인 콜렉티브)→アーノウト・ミク(Aernout Mik)

アーノウト・ミクと他2人の作品はACC Creationの建物の近くにある、民主平和交流院(민주평화교류원)で展示されてます。

【展示を見た感想】一番キュレーションらしさを感じさせていたのは韓国の作家を集めたACC 5。空間の使い方が上手く、逆にACC 2と3-4のキュレーションでは作品が箱詰めにされている印象が否めない。特に3-4は壁どころか数人のアーティストに向けてパビリオンの形で展示しているにも拘らず、空間がやたら広く感じられることで張りぼて感が出てしまっている。またACC 6には北朝鮮の絵画が並べられているが、ただでさえ形式的に似通う平面作品を大きな展示に一つのキュレーションとして含める意味があったのかと疑問。

 

②光州ビエンナーレ本館

こちらの会場は5つ(GB 1~5)。アップする写真が少ないのは、展示をそこまで集中して見れなかったから・・・

上:キム・フィチョン(Kim Heecheon, 김희천)/下:ソヌ・フン(Sunwoo Hoon, 선우 훈)

【展示を見た感想】GB 1~3のキュレーションはポスト・コロニアルなものとして提示されている(、もしくはもっと細かに言えるものな)ので、この点は専門家の人の意見を聞いてみたい。ただ展示について言うと、それぞれの境界をごちゃまぜにしてしまっている印象。ひとつひとつ観るのに時間を割くことが求められるが、全般的に社会・政治的背景に多くを担っている作品が見受けられ、ではグローバルな時代においての境界とは?という流れでおそらくGB 4のスペースに接続できると思うが、このスペースは映像作品メインでまとめられてはいるものの、その作品ごとの展示環境があまりよくない。ブラック・ボックスの中にいても横の作品の音に集中力が邪魔されたり、上映時間が長いのにも関わらずエアコンがガンガンだったりと、作品にもそれを見る観客にもあまりいいイメージは持てなかった・・

 

③旧国軍光州病院(구)국군광주병원, 국군광주병원 옛터)

・ここではマイク・ネルソン(Mike Nelson)とアピチャッポン・ウィーラセタクン(Apichatpong Weerasethakul)、そしてカデル・アッティア(Kader Attia)の展示が予定されている。会場はこちら、地下鉄のファジョン(Hwajeong, 화정)駅の2番出口から出て、真直ぐ進んでください。

こちらは会場の入り口。

「국군광주병원 비엔날레」の画像検索結果

「국군광주병원 비엔날레」の画像検索結果
上:会場を訪れたアピチャッポン・ウィーラセタクン
下:会場で作業をしているマイク・ネルソン

・チケットは14,000ウォン(約1400円)。ACCでもビエンナーレ館どっちの会場でも買えて、一枚でどっちも見れる。

・それぞれの開館時間は下記のとおり
□ACC:10時〜18時/10時〜19時(水・土)
□ビエンナーレ館:9時〜18時
□旧国軍光州病院(マイク・ネルソン、カデル・アッティア):15時~19時
、1度に15人まで案内係と共に入場(15時・15時20分・16時・16時20分・17時・17時20分・18時・18時20分の計8回)
□旧国軍光州病院(アピッチャッポン・ウィーラセタクン):17時30分・19時!!(←NEW!、というかオープニングに間に合って欲しかった。。)

*注意!ACCは月曜日休館です。月曜日はビエンナーレ館のみオープン!ソウルの人もたまにやらかす。

・参加作家はこちらから、セクションごとに確認できます(英語)。アーティストが過去最多らしいです。
当サイトでも以前とりあげたユン・ヒャンノ(윤향로, Hyangro Yoon)キム・フィチョン(김희천, Kim Heecheon)も出品してます。日本からは下道基行さんと奈良美智さんがACCで同じセクションに参加しています。

・いいおまけ:ビエンナーレと併せて、ACCの近くで面白そうな展示がやってます!

①まずはNAVER PARTNER SQUARE(地図)で開催しているグループ展の紹介。韓国語のタイトルは「가공할 헛소리」、「手の加えられる戯言」とでも訳せましょうか。ACCから歩いて10分!
キム・ドンフィ、キム・シルビ、ユン・ジヨン(김동희, 김실비, 윤지영)の3人のアーティストが新作公開。。!とのこと。こちらのサイトで確認も出来ます(韓国語)。入館は無料です。

ちなみにキム・シルビさんはソウルのハプチョンチグ(Hapjungjigu, 합정지구)というスペースで個展も開いています(セットで是非)。

「아시아문화전당 오늘」の画像検索結果

②作家ミシェル・ウエルベック(Michel Houellebecq)の詩から取られた「TODAY WILL HAPPEN」というグループ展。これはACCの近く(微妙に遠かった・・)の光州市民会館(광주시민회관)でオープンしてます!こちらも入館無料。

右の緑地(?)がACC、左の緑地が光州市民会館。歩くと20分くらい。

イ・ミレ(Lee Mire, 이미래)(写真 左)やチェ・ユン(Yun Choi, 최윤)(右)といった若手の作家も参加しています。他の作家はこちらから確認できます!余裕を持って、ビエンナーレと併せて見てもいいですね。

③最後に写真家ノ・スンテク(NOH Suntag, 노순택)の個展。こちらは光州市立美術館(광주시립미술관)の写真館(地図)で行われています!ビエンナーレ館とは別の位置にあるので注意!

4.食事・宿泊など

ビエンナーレ会場の周りはあんまり食べ物屋さんを選べられない。(ロッテリアとかはあるけど。。)むしろACCの周りの方がいろいろ選べるし、沢山ある。そして、活気に満ちている。人が少なくて屋台が無いソウルのミョンドンみたいな感じ。

・おすすめは鴨鍋(オリタン, 오리탕)。光州駅の方角に鴨ストリートがある。ヨンミ・オリタン(영미오리탕)(地図)という鴨の鍋がオススメ。他にもオススメできるお店もあるけど、初めての人のことも考えて、ここのお店に。

「광주 영미오리탕」の画像検索結果

メニューの左の列、上から二番目のもの(28,000ウォン≒2,800円)がこれ。これはハーフサイズで2〜3人でつつける。人数に合わせてお店の人がアドバイスはしてくれる。

「광주비엔날레 할리스」の画像検索結果

・ビエンナーレ館の横にあるカフェ(HOLLY’S COFFEE)は参加作家と展示関係者は10%オフになる!周りにカフェもないせいもあり、よくビエンナーレの関係者とここで出くわす。ACCの建物内にもあったが、どうやら潰れた模様。。(?)

・一泊するならACC近くで。ビエンナーレ館の周りは半分田舎で半分住宅街(マンション)になっているので、個人でも大勢でも泊まれるような宿泊先が少ない。

と、大まかではあるが、光州ビエンナーレを一度見て、いろいろと(良い面も悪い面も含めて)思うことがあれば、との思いで紹介しました。それでは、行ってきます お気をつけて。

紺野優希