舞台芸術

定まらない視点:ディミトリス・パパイオアヌーの〈The Great Tamer〉

1.〈The Great Tamer〉と以前の作品との共通点

 

今年の秋(9月13日~10月15日)に行われた、ソウル国際公演芸術際(SPAF)にて、振付師ディミトリス・パパイオアヌー(Dimitris Papaioannou)の〈The Great Tamer〉が海外招待作品として発表された(9月28日~9月30日)。筆者の知る〈Nowhere〉(2009)や〈Inside〉(2011)のように、今回の作品もまたセットの規模が壮大であった。ここでの壮大という表現は、必ずしも装飾と結びつくものではない。むしろそれとは距離を置いて、いたってシンプルな形状と色合いのセットで出来ていた。ここではダンサーも、おそらく多くの人がマース・カニンガム(Merce Cunningham)の作品を思い浮かべるように、シンプルな衣装で現れる。ダンサー達は壮大な周辺要素に圧倒されることなく身体を動かし、むしろとそれとは視覚的にも調和を成している。

The Great TamerThe Great Tamer

 

Merce Cunningham in "Changeling" in 1957Merce Cunningham in “Changeling” in 1957

 

今回の公演では、舞台の一方がゆるやかな坂になっていて、そこに着飾っていない―途中、ドレスと宇宙服を着た人物がそれぞれ登場するが、彼らの衣装もまた目立たない色合いゆえ、装飾性が明確ではない―ダンサー達が登場するという点で、それまでの作品との共通点を見出せる。それだけでなく、以前の作品に表れたダンスのモチーフを探すことが出来る。それぞれの身体の一部を使って人間一人の身体を組み立てるように見せたり―〈Primal Matter〉(2012)―、幾何学的な形をしたセットの上を歩いたりする点―〈Birthplace〉(2004)においても、共通している。

 

The Great TimerThe Great Tamer
〈Birthplace〉(2004)〈Birthplace〉(2004)

 

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