美術一覧

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オブジェにつきまとう幻影 (1):益永梢子《Daily routine》

先月、水戸芸術館のクリテリオム93で開かれた個展《Daily routine》に取り上げられた作品は、絵画的な要素とオブジェ(立体)の要素を同時に表している。所々塗られた箇所と、丁寧に作られた立体、または床へ直に置いたり、壁にかけられている様子を見ると、その作品が絵画と彫刻との妙なる関係性を示唆しているようにも思える。私が作品から感じとった絵画の特徴―または絵画らしさとでも言おうか、それは先ほど述べた幻影(性)ではないか。

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山と平地は続いている:荒木悠・ダニエル・ジャコビー<Mountain Plain Mountain>(2018)

5月3日~12日の間、韓国の全州で開かれている第19回全州国際映画祭で、映像作家の荒木悠とダニエル・ジャコビー(Daniel Jacoby)の共同作品<Mountain Plain Mountain>(2018)がExpanded Cinemaの短編部門で紹介された。今回は訪問できなかったが、今年の第10回恵比寿映像祭で見た記憶をもとに、この作品について触れてみようと思う。

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キャラクターは自分から話が出来ない:相磯桃花《私がした暴力》

TATARABA「ナオナカムラ」で開かれた相磯桃花の個展《私がした暴力》で、作家はアニメーションゲームのキャラクター設定における暴力(または暴力性)に注目し制作を行った。絵画と映像を中心に作者はキャラクターを視覚的に表現し、鑑賞者はその人物像を見ては、ゲームで普通に見ることのできる存在として受け入れる。ここで視覚的にキャッチできるキャラクターの健全な姿は、作品のタイトルを見たときに疑問を抱くようになる。

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写真的傾向:武田鉄平と千葉正也の絵画から

絵画のための絵画、という文章を目にした時、美術史を齧ったことのある人は、クレメント・グリーンバーグ(Clement Greenberg)のモダニズム・ペインティングを思い浮かべるのではないだろうか。平面(flatness)を強調した、つまり絵画らしさを追求したものこそが、それであり、そこにはナラティブや空間(の創出)が含まれないと主張した。

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叫び声は現場に聞こえない:イム・フンスン×百瀬文<交換日記>

先日、3月30日、韓国国立現代美術館ソウル館(MMCA Seoul,국립현대미술관 서울관)で、芸術家イム・フンスン(Im Heung Soon, 임흥순)の個展「私たちを隔てるものたち」に特別上映プログラムとして、作品<交換日記>が上映された。

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美術館の透明な壁、趣味家のショーウィンドウ

昨年2017年10月13日~11月10日にかけて、ソウルの趣味家(Tastehouse)で行われた《趣味官》(TasteView)では、多くの芸術家の作品やグッズが、会場のショーウィンドウの中に並べられた。この「異質な」展示について、昨年筆者の書いた内容に付け加える形で、日本語で紹介したいと思う。

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分裂を抱えた世界:チョン・ヒョンソン《並んで歩く昼と夜》(전현선, Hyunsun Jeon)

以前、オク・スンチョル(옥승철)とノ・ウンジュ(노은주)のグループ展に共に参加していた画家、チョン・ヒョンソン(전현선)の個展が、弘益(ホンイク)大の近くにある展示スペース、オルタナティブ・スペース・ループ(Alternative Space Loop)で行われた。以前のグループ展《没入と均衡(몰입과 균형)》で、筆者はチョン・ヒョンソンの作品を「絵画的らしい」というキーワードのもと分析してみたが、今回の展示はまた違う視点で見ることができた。

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線は引かれるもの:BIEN《WOOZY WIZARD》

BIENの個展《WOOZY WIZARD》が、Block Houseで先日行われた。今回の平面作品は、一見、特にネットにアップされた画像で見ると、それはフォトショップやイラストレーターのツールで描かれた線のように見える。実際にこの線は、ベニヤ板に機械で丁寧に彫られたもので、それは文字や記号、そしてアニメのキャラクターをはじめとして様々な形を捉えたもの、と説明にある。......

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悲劇的な英雄:出光真子〈英雄チャン、ママよ〉

今年、東京都写真美術館で開かれた第10回恵比寿映像祭では、「不可視であるなら、私が。 出光真子おんなのさくひん」というタイトルの元、映像作家出光真子の作品が上映された。合計で7つの映像作品が紹介され、その中には私もはじめて観るものも含まれていた。しかし、それでもやはり初めて観た時の影響は大きかったのだろう、〈英雄チャン、ママよ〉(1983)について、やはり語りたくなった。この作品について語ること、それはビデオについて、そしてビデオに記録された人物と、それを見届ける人物との関連について、考えることである。

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**阿部共実:月曜日の友達(2)**

先日、阿部共実の漫画「月曜日の友達」の第2巻が発売され、それにあわせてインタビューがウェブ上で公開された。読んでいくと、「文章表現について、影響を受けた作家はいますか?」という質問に対して、作者は以下のように述べている。 特にだれの影響とかはないと思うのですが、自分は宮沢賢治が好きです。小学生でも読める難しくない言葉の配列で、ここまで感動的な力を文章に宿らせられるなんてすごいなと思います。だから宮沢賢治のようにだれにでも読みやすくするために、難しい言葉は使わない、というのはありました。だから青年誌なのに、ルビを打ってもらっていました。 【インタビュー】阿部共実『月曜日の友達』ネームを完成させるまでに1年! 描きたかった思春期の中学生男女と“大友克洋的SF”、そして憧れの“自転車2人乗り”

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